@ 私がこのツアーに参加した事で(未だに消化できてない事も多いが)痛感したことが大きく二つある。
一つ目は、事実を知る重要性だ。なぜなら、ネパールにおいて誰を一番に助けるべきなのかを把握して、正確に行動しなければ、ネパールにおける人身売買や貧困問題の状況は<SPAN lang="EN-US">100年経っても変化がないからだ。
例えば、カトマンズにはじめて到着した日に街をうろつくストリートチルドレンを見かけた時、私は彼らに対して「可哀そうだ」と感じた。どうすれば彼らがお腹いっぱい食べる事ができて、学校に行けて幸せな生活を得られる事が出来るようになるのだろうかと真剣に考えていた。
でもそれは私が彼らを街で一瞬見かけただけで感じた事であって、彼らの事を私は詳しく知っているわけではないのだ。それに気付いたのは、まり子さんの影響がとても大きい。まり子さんから多くのストリートチルドレンたちは自分達から好んで路上生活を選び、自由を満喫しており、たまに旅行者から得たお金でシンナーを吸っていると教えてもらった。実際に日本に帰国してからストリートチルドレンに関する本を読んでみて驚いた。私が考えていたストリートチルドレンと本で読んだストリートチルドレンは全く異なっていた。 |
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A 長くなってしまったが、この事実を知る重要性から私は当面の間は事実を知ろうと努力するつもりだ。事実を知るためには10年間の修行だと思ってがんばりたい。(絶対にグローバルな女になりますから見ていてくださいね 笑)
また事実を知る事で感情的になりすぎない自制心を常に持つ事も重要だと感じた。ラリグラスの活動を実際に現地で見て率直に思ったのは、きっと心ではつらい現実を見て泣いているのにそれを一切表には出さずに、助けるべき人を第一に考えようと努力をしているという事だ。
心の中には常に大きな希望と情熱を持ちながら(くさい台詞ですが・・・)やれるべきことをやれる人間になりたいと思う。そのためのツールとして、事実を知る・見極めるという事が必要不可欠だ。
それに気付いてから私は非常に怖くなった。きっと多くの旅行者たちは善意のつもりでストリートチルドレンに対してお金や食べ物をあたえているのだろうが、それは逆にストリートチルドレンの増加に拍車をかけているのではないだろうか。それはネパールの発展に多大な悪影響を長い目でみたら及ぼしているのではないだろうか。私の無知が現地で何らかの問題の火種とつながってしまうのではないだろうか。 |
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B 援助を行う相手と私を含めて多くの人達は本当に正面から向き合っているのだろうか。少なくとも私にはできていなかった。それは私が感情的になりすぎていて事実をみようとしていなかったからだ。援助する側の身勝手な感情や要求が彼らの発展の足手まといになり、逆に彼らを追い詰めてしまう可能性があるという事を常に肝に銘じていなければならないと感じた。
二つ目として挙げたいのは、「責任感」を持つという事だ。私はまだ社会に出た事もないただの学生で責任感を求められる場面に直面した事が少ない。しかしネパールで被害者の女性や子供達と実際に会って手を握ってみて、初めてNGOの責任・ドナーの責任は本当に思いと痛感した。まり子さんから来た「一度はじめたら継続しなければいけない」という言葉の重みがよくわかる。
もしNGOが彼女たちを支援できなくなったら、彼女たちは行き場を失ってしまう。そう思うと背筋が凍えるような思いがした。ネパールでは人身売買の被害者の女性や子供達を取り巻く環境は本当に厳しい。まり子さんの受け売りだけど、だからこそNGOは、たたかわなければいけないし、ドナーも支援している女性達のためにお金を武器にしてたたかう責任感を持つ必要があると心から思う。その責任感こそが、ホスピスの女性や子供達の幸せにつながってくるのだとこのツアーで痛感した。
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C またツアーに参加する前は、現場で実際に働いて、現地で何かしたいと真剣に考えていた。しかしホスピスの女性や子供達と話し、手をつないで笑っているうちに、自分を見つめ直す余裕ができた。そして私には日本でやるべき事がまだまだたくさんあると気付いた。
私が毎朝新聞を読んで事実を知る修行?をするのも、社会に出て自立するのも、新しい家族を作るのも、全て責任感を持つという事につながるのでないだろうかと考えるようになった。そう考えるようになったのはラリグラスのスタッフの皆さん、ツアー参加者の皆、また何よりホスピスのみんなのおかげだ。特にホスピスの女性達と接していると、女性の内に秘めた強さや命の重み、言葉では言い尽くせないお金なんかでは買えない大切なものをもらった。
長くなるが、まり子さん、亀ちゃんさん、翔子さん、みほちゃん、あかりさんに心から感謝したい。まり子さんには自分の視野を広げてもらって、色んなことを教えていただいた。お笑い好きと知ってそのギャップに驚いたが、知識の豊富さと内に秘めた情熱を感じて心から尊敬した。
亀ちゃんさんは、ビーズ指導でツアー参加前から本当にお世話になった。ツアー参加中に大家族の母みたいにいつも皆に気を配っていて、時に笑いを時に優しさを振りまけるビーズの上手な人だ。 |
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D 最後の最後までビーズができなくって本当にごめんなさい。翔子さんは、ツアー参加前は一番真面目そうな常識人だと思っていたのに、実は一番笑いを振りまく注目されたがりで私の笑いのツボを常に刺激しまくる人だと判明した。
みほちゃんと私は物事を見るポイントが違っていたので一緒にいてとても新鮮で、その上人とのコミュニケーションが上手で、どっちが年上かわからなくい程しっかりした子だった。あかりさんはとても注意深く周囲を見ることができる鋭い感性の持ち主でとても素敵な美人なお姉さんだけど、時々その外見に似合わない言動で周囲を一瞬で笑いの渦に引き込む実はかなりおもしろい人だった。
皆がいなかったら私はホスピスや(熱でダウンしていてあまり記憶がないけれど)の女性達との出会いやこのツアーで得られたものの半分も得られなかったと思う。
ラジャさんのお宅にお邪魔した時に、このツアーで感じた事を最後に発表した時、私は「国際協力は矛盾していると思う。私たち援助する側は、私たちが近い未来に必要とされなくなるように努力しなければならないから」と口下手ながら皆に伝えた。
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E その気持ちは日本に帰っても変わっていないし、むしろ一層強くそう思うようになった。なぜなら私が交流プログラムの日に、ホスピスの女性から「あなたたち日本人が来てくれる日が一番幸せ」という言葉を私は忘れる事ができないからだ。
私は彼女のその言葉を聞いてどうしても心の底から喜べなかった。私は彼女たちの口から「あなたたちが来なくたって私は幸せなのよ」と言われたい。そうなって欲しい。一足飛びで現実を見ていないと批判されると思うけど、私は彼女たちがいつかNGOや海外からの援助なしに自立した生活が送れるようになって欲しい。それがNGOの目指す究極の目標だと思う。それがNGOや援助する側の永遠のテーマではないだろうか。
長くなってしまったが、最後にもう一度ラリグラスのスタッフの皆さん、ツアー参加者の皆さん、ホスピスの女性や子供達に心から感謝したい。本当にありがとうございました。
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