2014年夏(34回)スタディツアー感想文
1)荒川さん(東京都 学生 女性)
 帰国して少し経ち、徐々に日本の現実に戻っていくと、ネパールでの日々は夢であったのではないかと思う時があります。それはツアーがとても楽しかったということもありますが、日本にいるときには考えられないような非日常な問題が現実にそこにあったからということが大きな理由です。

 私は大学に入ってからHIV/AIDSに関する学習・活動を行っており、今回のスタディツアーもネパールのHIV/AIDS、そしてその温床となる人身売買の問題を学びたいという思いから参加させていただきました。

続き
 しかし、ネパールの問題は私が思っていた以上にとても根が深く、この問題を考えるためにはネパールという国を様々な視点から捉えなえればならないことを感じました。当たり前のように起こっている人身売買はもちろんのこと、その背景にある貧困、制度・政策、医療、教育、警察、そして人々の国民性、知識と理解。

 それらをきちんと捉えることができなければHIV/AIDSがどこから現れるのかを本当の意味で理解できているとは言えないと思いました。今回のツアーはそれらを垣間見ることができ、問題を考える視点を得ることができたと思っています。

 HIV/AIDSや人身売買については、そのように思うことや考えることがあったのですが、ツアーの活動中は、そのような暗い気持ちになるようなことはほとんど考えませんでした。なぜならば、HIVに感染し、他にも何か病気を患っていたとしても、出会った人たちはみんな、笑顔で私たちを受け入れてくれたからです。

 彼女たちが笑っているのに、私たちが悲しむ必要は無いと思っていました。HIVに感染しているからこの先には悲しい運命しかないと私は思っていません。自分が適切な行動をとることができれば、この先いくらでも生きていけると思っています。

 もちろん、それは薬や予防法が行き渡っている先進国からの視点だからこそ言えることなのかもしれませんが、それでもやっぱりネパールのHIV感染者、AIDS患者さんたちにも希望をもって生きてほしいと願わずにはいられません。

 何だかHIV/AIDSの話ばかりになってしまいましたが、実際に今ツアーのことを思い起こすと、楽しい思い出しか出てきません。ホスピスの子どもたちと一緒に遊んだり、ショッピングに行ったり、ご飯を食べたり、手品を見せたりといったことや、カカルビッタでピクニックに行ったり、みんなと一緒にダンスをしたこと。大変なこともあったし、自分が何かをなしえたとも変えられたとも思えないけれど、それでも出会った人たちにとってかけがえのない思い出になっていたらいいなと思います。いつかまた会える時が来たら、今度は素敵な看護師になって会いたいと思います。

 ツアー参加者の皆さんと一緒にツアーをやりきったこともすごく良い思い出です。様々なバックグラウンドを持った社会人の皆さんの意見を聞けたことも良かったし、自分と歳が近いみんなは、きちんと人身売買や国際協力に向き合っていたことが良い刺激になりました。

 私は実は国際協力を仕事にするつもりがほとんど無く、将来やりたいことが別にあったのですが、ちょっとしたことがきっかけで国際協力の活動を始めてから抜け出せずに今に至ります。そんな感じであったので、今後どこまで活動を続けていくか迷っていたのですが、皆さんから刺激を受けて自分が納得できるところまで頑張ってみようと今は思っています。

 本当にこのツアーはとても楽しく、充実した日々でした。ラリグラス・ジャパンの皆さん、ツアー参加者の皆さん、マイティ・ネパール・NDWS、ラジャさん、他にもネパールで出会った素敵な皆さん、出会った皆さんにほんとにほんとに感謝しています。ありがとうございました。ナマステ!
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