2014年夏(34回)スタディツアー感想文
13)和田さん(東京都 社会人 女性)
私は今回、初めてこのツアーに参加させていただきました。このツアーのことは昨年末にラリグラス・ジャパンのホームページで知り、興味を持ちました。
私はかねてから、「何らかの形で誰か人の役に立ちたいな」と漠然と考えており、興味はあったのですが、募金活動や慈善事業・活動をしている団体を「なんだかあやしいなぁ」と疑ってしまい、実際に参加することもありませんでした。
そんな中、ラリグラス・ジャパンのスタディツアーを見つけたので、「研修ならば参加してみようかな」と思い、参加を決意しました。
(続き)
今回のツアーは、私を含め14名(うち、短期日程4名)の参加がありました。社会人10名、学生4名で、学生の方・若い方の参加が多いことに驚きました。初めて参加される方のうち、私を含め、ネパールへ初めて行くという方が多かったです。
初めてのカトマンズの印象は、「人口が2600万人ほどのはずなのに、そして夜中なのに何でこんなに人が多いの?!」と感じるほど、人が多かったです。
雨期のため、到着初日(夜にカトマンズ着)は移動が大変なほどの大雨に見舞われましたが、その後のお天気は、スケジュールに影響の出るほどの大雨もなく、気候も涼しく過ごしやすい気候が続きました。
【ホスピス訪問】
2日目の朝、ホテル近くのレストランで朝食をとっているときに、まり子さんから人身売買について、その日に訪問予定のホスピスについてなどの説明を受けました。ホスピスの子どもたちに会う直前だったので、緊張が高まりました。また、ネパール語ができてツアーにも複数回参加している大野国さんが作ってくれた名札(ネパール語)も受け取りました。
緊張と不安の中、最初の訪問場所であるホスピスに到着したとき、子どもたちがとても笑顔で「こんにちは!」と私たちのバスのほうまで来て迎えてくれたので、私のほうがとても嬉しい気持ちになりました。最初に驚いたのは、子どもたちの英語がとても上手なことでした。自己紹介もコミュニケーションも英語でこなしていて、英語の苦手な私は、「私も頑張らないと!」という身の引き締まる気持ちと、「将来、大きな世界で活躍してほしいなぁ」と応援したい気持ちになりました。
また、モニサという女の子と一緒に、プレゼントのリリアンと、持参した一眼レフカメラでの撮影ごっこをしたのですが、やり方を一回説明すると、とても器用にこなしていました。モニサだけでなく、ほかの子どもたちも飲み込みが早く、何でもこなしていく姿にはとても驚かされました。
ホスピスのみんなとは、翌日(3日目)にショッピングセンターへお買い物に行きました。買い物前に、まり子さんから「迷子やけが、体調不良も心配だけど、脱走がないかが一番心配」と聞き、ハッとしました。過去にもラリグラスのイベント以外で脱走した前例がいくつかあったようで、「昨日、あんなにはしゃいでいたみんなだけど、家族に会えなかったり、体調が優れなかったり、つらい過去を背負っている、大変な毎日を送っているんだ」ということを改めて実感しました。
お買い物は無事に終わりましたが、ディディ*のほとんどは値札が読めず、どれを買っていいかわからない状況であることが私の中でショックでした。
お買い物の後、食事に行きました。モモ(ネパール料理)は、大人数でいただくとより一層おいしかったです。私は短期日程だったため、ホスピスのみんなとはここでお別れとなってしまいます。最後のあいさつをすると、モニサとランジットが駆け寄ってきてくれて、「また来てね」と言ってくれたのがとても嬉しく、感動しました。
【マイティ・ネパール本部】
2日目の午後、マイティ・ネパールの本部に訪問しました。土曜日だったため、本部内の学校はお休みでした。本部はとても大きく、学校教育、職業訓練が行われており、普段の生活は、掃除・洗濯・食事などが協力して行われています。また、小さい子どもや、赤ちゃんの世話をするディディたちは、お給料が支払われるそうです。
私たちはそこで、有志で集まってくれた女の子たちとお菓子(ネパール語でポカ)のパッキングをしました。そこでも、彼女たちの手際のよさに驚きました。できあがったポカの詰め合わせを、1人ひとりに渡すときには、「ナマステ!」とあいさつを交わし、笑顔を見せてもらえることができました。
その後、赤ちゃんたちのお部屋を見せてもらいましたが、赤ちゃんたちの多くは、何らかの理由で捨てられているところを警察に保護され、マイティにやってくるそうです。とてもかわいい赤ちゃんの姿を見ていると、本当に保護されてよかったと感じました。
幼児のお部屋では、お遊戯を披露してもらいました。ここでも、英語の歌を元気いっぱいに歌っている子どもたちの頑張りと、それを教える先生の頑張りに脱帽でした。
【トランジット・ホーム】
4日目は、飛行機と車でカカルビッタ(インドとの国境付近)へ移動しました。カカルビッタは、首都カトマンズから約600㎞離れたところにあり、カトマンズと比べると農家の多い地域で、簡素な建物も多く見受けられます。ここは、インドとの国境付近(1㎞ほどある橋を渡るとインド)ということ、また、カトマンズからハイウェイが整備されていることなどから、人身売買のキープレイスとなっています。
マイティは、インドへ渡る橋の手前に監視所を設置し、ネパールの少女たちがインドへ売られるのを監視しています。5日目の朝、この監視所を見学に行きましたが、監視している女の子2人は、橋を渡る人たちに目を光らせ、通行人にどんどんと声をかけていました。彼女たちの多忙ぶりは2人では足りないくらいでした。
ここで保護された少女は、トランジット・ホームにて、一時的に預かられます。ここでは、カウンセラーが事情を詳しく聞き、家族と面談を重ねたりして、家族のもとへ戻るか、マイティの施設で生活するかなどの今後の対応を判断します。看護師も駐在しています。
私たちが訪問したとき、3人の少女が保護されていました。うち1人は赤ちゃんを抱いていました。彼女は保護されたときに妊娠中で、トランジット・ホームで出産したとのことでした。とても幼い親子を見ているととてもいたたまれない気持ちになりました。そして、このようなつらい親子・子どもたちをこれ以上増やしてしまうことは許されないとも感じました。
【サッチガッタ】
カカルビッタから車で20分くらい移動した場所に、サッチガッタの精神的な障がいのある女の子たちの生活する施設があります。施設ができたころはほとんどの女の子がコミュニケーションをうまく取れなかったそうですが、私たちが訪問したときはみんなとても素敵な笑顔で迎えてくれ、私もほっとしました。現在の状態になるまで、スタッフの方々の多大な努力があったことを聞きました。きちんとしたリハビリ施設や医療器具もない中で、医療の力だけではない、心の通ったサポートが大きな力を発揮することを実感いたしました。
サッチガッタとトランジット・ホームの女の子たち、スタッフの方たちと移動した日の翌日(5日目)、公園にピクニックに行きました。とても広い公園で、遊戯施設やボート、動物園が併設されていました。
ピクニックでは、音楽をかけてみんなで踊りました。みんなとても踊りがうまく、私も一緒に踊りましたが、見ているだけでもとても楽しい光景でした。お天気にも恵まれ、みんな暑い中のダンスだったのでたくさん汗をかきました。
ランチはスタッフの方々が作ってくれたカレーとタンドリーチキンです。空腹と辛さも後押ししてくれ、とってもおいしかったのであっという間にたいらげました。
【最後に】
短期日程のため、私はここまでしか訪問ができなかったのですが、ここまででも勉強になること、衝撃を受けたこと、感動をもらったことがたくさんあり、いろいろと考えさせられました。これから、私ができることは何だろうと考えたとき、HIVや人身売買のことは詳しくは知りません。HIVがどれくらい痛いのか、薬を飲み続けるのがどのくらい負担なのか、体を売ることがどんな気持ちなのか、親の顔を知らないことがどんなつらいことなのか、想像もつきません。ただ、このつらさは、お金があれば解決できることがわかりました。
人身売買の問題も、HIVの服薬も、障がい者への福祉も、メンタルのケアも、全てお金がないことがネックとなっています。また、そういった事態に陥る前に、子どもたちへの教育が十分にできる環境をつくるといったこともお金がかかります。
今後は、できる範囲で、彼女たちの力になることができれば光栄だな、と感じました。そして、また、みんなに元気な笑顔で会うことができれば最高です!
以上
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