2014年夏(34回)スタディツアー感想文
2)飯塚さん(東京都 社会人 女性)
 まず初めに、スタディツアーを引率していただきましたラリグラス・ジャパン代表の長谷川まり子さん、秋山佳子さん、及び影ながらツアーをサポートしていただいたスタッフの皆さまに厚く御礼申し上げます。 

 10日間滞在したネパールでのスタディツアーはとても楽しいひとときかつ、学び多き時間でした。中学2年生のころから関心のあった人身売買というテーマに対して、ネパールの政治、経済、国民性、子どもたちを取り巻く環境など、複合的に絡み合う問題に対して、正面から向き合うことができたのは、大変貴重な経験になったと感じております。特に下記3点に関して、このツアーを通して感じましたので、ご報告申し上げます。

続き
 まず初めに感じたのは、子どもたちの純粋さです。初日、ホスピスへ訪れた私たちを迎えてくれたときの元気はつらつとした子どもたちの笑顔に驚かされたと同時に、ツアーを通して子どもたちと接する時間が増えるたびに、彼女たちの純真さに私まで癒されました。

 まず、初めに強くそのことを感じたのは、プログラムの1つであるショッピングのときです。初めてお小遣いを与えられ、初めてデパートへ買い物に行く彼女たちの目は輝いていました。私なら大はしゃぎで自分の好きなものを真っ先に探しに行くと思いますが、私と一緒にいた女の子は、「アンティ、何がほしい?何か買ってあげたいからほしい物を言って!」と、ずっと「私が、何がほしいのか」を聞いてきたのです。とても胸を打たれました。

 「まず、あなたがほしい物を買いなさい」と言っても聞かないので、お揃いの物を探して買うことにしました。次に、驚かされたのは、彼女たちの部屋へ案内され、少ない所持品の中身を見せてもらったときです。「これ、とてもかわいいね」と、ある物を見ながら言うと、「じゃあ、これアンティにあげる!」と、何の躊躇いもなく、私にプレゼントしてくれました。お金や物に溢れている私たちは、なんと物に執着し、心の狭い生活に慣れてしまったのだろう、反省するとともに、子どもたちの心の素直さに常に感激していました。

 ツアーを通し、2つ目に感じたのは「支援のあるべき姿」です。私はスタディツアーへ参加する前は「かわいそうな子どもたちのために何かしてあげたい」といった、大変傲慢な気持ちを少なからず持っていたと思います。しかし、「かわいそうな子どもたち」や、「かわいそうな被害者」という視点は初日にして覆りました。

 私たちを満面の笑みと、純粋な心で歓迎してくれた子どもたちは、私たちの身の回りにいる子どもたちと何一つ変わらない、ということに気づかされました。子どもたちと遊んでいると、彼らの境遇をすっかり忘れてしまうほどでした。ツアー前に、「彼ら一度も可哀そうだと思ったことはない。よく、頑張った、とそう思う」とまり子さんがおっしゃっていたのを覚えています。

 また、「支援に上も下も、先進国も、途上国もない」という言葉も大変強く印象に残っています。施設の子どもたちと触れ合う前の私の考え方を改めて恥じたとともに、今回のツアーで得られたこの感覚はとても大切なものだと感じました。

 3点目に問題を感じたのは人身売買という問題の根深さです。初日、カトマンズ空港から出た瞬間の感想は「臭い、汚い、道路が凸凹!」でした。野良犬とストリートチルドレン、機能しない日本製の信号、衛生的でない水、慢性的な電気不足、不安定な国内政治、半分以上が支援で成り立っている国家予算、資源不足、地理的要因、国民性、教育問題、医療問題、歴史に宗教……。

 さまざまな問題が複合的に絡み合って、人身売買という問題が発生しており何か1つに注力すれば解決する問題ではない、ということを肌で感じました。しかし、今この瞬間、瞬間で、無垢な女性や子どもたちが被害に遭っているという事実に、行き場のない憤りを感じずにはいられませんでした。

 最後になりますが、今回のツアーで最も忘れられなかったトランジット・ホームでの出会いを共有したいと思います。私たちをトランジット・ホームで迎えてくれたのは、インド国境で保護されたばかりの2人の少女と17歳のお母さんでした。2人の少女は名前や出身や、インドへ渡ろうとした理由など、まだ本当のことを話してくれているかわからない状況でした。

 人のことを信じられないような、何かにおびえているような瞳と、固く強張った表情が印象的でした。17歳のお母さんは、自分の赤ちゃんを見る眼差しに母親としての自覚や、わが子に対する愛情を見て取ることができませんでした。彼女が赤ちゃんを出産した背景から、それは当たり前のことかもしれませんが、その悲しく、困惑した表情に胸が痛みました。

 そんな3人の少女との出会いでしたが、翌日のピクニックには、国境で保護されたばかりの女の子2人が参加しました。私はピクニック中多くの時間を彼女たちと過ごしていました。言葉はほとんど通じないのですが、本当に不思議なことに、意思疎通に不自由はほとんど感じませんでした。

 彼女たちの言葉と、私たちの言葉と、少しの英語で、何ら不自由なく意思疎通ができ、とても楽しい時間を共有できたことに驚きます。おしゃべりをしたり、ダンスをしたり、おいしいご飯を食べたり、ボートに乗ったり、公園で遊んだりと、それは本当に、本当に楽しいひとときでした。

 そして、最初に出会ったときとは驚くほど彼女たちの表情がみるみると変わってきました。強張っていた表情は本来の笑顔に戻りつつあり、心の底から笑っている、ということが伝わってきました。一緒に楽しいときを過ごしたせいか、別れの瞬間はとてもつらかったです。

 最後別れの瞬間に1人の女の子が涙を浮かべて別れを惜しんでくれたのが今でも忘れられません。本当のことを話してほしい、自分の身体を大切にしてほしい、しっかりと勉強して、知識をつけて、絶対に売られちゃいけない、そんな願いを込めて強く抱きしめていました。

 もしかすると家族や身近な人に売られてしまったかもしれませんし、言葉巧みにだまされてしまったのかもしれません。本当のことは何一つわかりませんが、彼女の不安や心細さを感じました。そしてこれから彼女が歩む人生が、少しでも幸福なものであるように、願って止みませんでした。

 支援は決して華やかなものではなく、同情で成り立つものでもなく、上下関係が存在するものではありません。地道で継続的でなくてはいけないし、国ごとのさまざまな事情や国民性、国際関係の微妙なバランスなどを考慮した上で、その国が本当に必要としている支援を見極めなくてはいけません。そのことが将来的に、今回のツアーで出会った子どもや女性を一人でも減らすことにつながると学びました。

 今回のツアーは大変学び多く、自分の将来的な支援の在り方やキャリアを考え直すきっかけにもなりました。同時に、素晴らしい人々との出会い、おいしい食事、豊かな自然、宗教、すべてがとても新鮮で、大変充実したときを過ごせたことに、あらためて感謝いたします。今回感じたことを忘れず、今後とも子どもたちと接点を持ち続けたいと思います。

以上

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