2014年夏(34回)スタディツアー感想文
4)小山田さん(東京都 社会人 女性)
■今回ツアーに参加したきっかけ
2003年、大学生時代にネパールのワークキャンプに参加したことをきっかけに、ネパールを中心とした世界のジェンダーギャップや子どもの権利というテーマに関心を持っています。
ネパールで参加したワークキャンプは、学校を建築するという土木作業がメインだったため、キャンプ中にネパールにおける人身売買のことを見たり聞いたりすることはありませんでした。ただ、帰国してネパールについて詳しく調べた際に、ネパールで人身売買が起きていること、売られた少女や女性が売春を強いられていることを初めて知り、それまで何も知らなかった自分を恥ずかしいと思いました。
(続き)
それ以降ずっと、頭の片隅には「ネパール」「人身売買」という言葉は残りつつも、なかなか具体的な活動をするまでには至らず、10年も月日がたってしまいました。そして昨年、行動しようと思い立ち、ネパールの人身売買について活動している団体を調べたところ、見つけたのがラリグラス・ジャパンでした。昨年はどうしても日程の都合がつかずスタディツアーに参加できなかったのですが、今回やっと、10年ぶりにネパールに行くことができました。
スタディツアーでは、実際に現地を見ていろいろな方とお話できたこと、まり子さんからのたくさんのインプットをいただいたこと、多彩な参加者との楽しい交流ができたことなど、想像以上に濃厚な日々を過ごすことができました。本当に内容の濃いスタディツアーで、たくさんの学びがありました。
下記は、簡単ですが、印象に残った場所の感想です。
■ホスピス交流プログラム
とにかくホスピスの皆さんが歓迎してくれ、驚きました。ツアー中何度も交流する機会があったため、数人ではありますが名前を覚えることもでき、とても楽しく過ごすことができました。
ショッピングセンターに買い物に行ったことが特に印象に残っています。皆、楽しそうにはしゃいでいましたが、そんな中、誰かと逃げてしまわないか目を配る必要があったり、日ごろホスピスから自由に外出することのない少年たちが買い物の仕方をよく知らなかったり(おつりの計算ができず、お菓子を1つとっては毎回会計をしていました)、普通の買い物とは少し違うところがありました。
HIV/AIDS感染者ということで普通の生活が送れないことは理解しているのですが、子どもたちが自立の道を歩んでいくには、いろいろとやらなければならないことがあるのだと感じました。
■トランジット・ホーム
今回のツアーで一番印象に残った場所かもしれません。実際にインドとの国境付近を歩いてみて、国境とはいえその境が非常に曖昧で、パスポートもいらずに国境を越えられる状況を見て、簡単にネパールからインドへ連れ出せてしまうということがよくわかりました。
また、自身も被害者であるにも関わらず、人身売買の被害を事前に防ごうと警備をしている女性たちと会い、すごい勇気だなとも感じました。そして、そういった直接的な活動だけでなく、地道に地元とコミュニケーションを取ることで、人身売買を防げるようなコミュニティづくりをされていることがとても素晴らしいと思いました。
■メンタルケア施設の入所者
ピクニックはとても楽しかったです!
人身売買の被害だけでなくさまざまな経験をして心を病んでしまった方たちがいて、置き去りにされたようにひっそりと暮らしている様子や、帰り際、まり子さんに「帰らないで」と言っている様子を見て、心が痛みました。
■マイティ・ネパール
まり子さんの本から、活動の概要は知っていましたが、その規模の大きさに驚きました。また、日本ではネパールの人身売買に関する活動をしている団体が少ない中で、欧米の団体がこの問題に多額の資金を支援していることにも驚きました。
また、人身売買の被害者以外に捨て子が増えているということは、今回初めて知りました。その背景には貧困があったり、妊娠してしまって男性に逃げられてしまいそのまま子どもを産む女性がいたり、捨てられた子が放置され性被害にあったりということがあるとお聞きし、ネパールの人身売買に関連する問題の根深さを知ることができました。
■NDWSネパール障害者女性協会、CBRプログラムフィールド訪問
メンタルケア施設と同様、人身売買とは少し違った視点でネパールを見ることができました。一口にネパールと言っても宗教や民族、地域、経済力の違いなどさまざまな場所でそれぞれの暮らしがあり、海外のNGOの支援だけではどうにもならないことを、国や政府がどのように取り組んでいくのかという点が気になりました。
■全体を振り返って
今回ツアーに参加したことで、人身売買に関する問題にはさまざまな要素が絡み合っていることと、その一面を実際に感じることができました。
いろいろな課題を知るたびに、何から解決すべきなのか、自分は何ができるのか、何をすべきなのか悩んできてしまっています。とはいえ何もしないのも嫌なので、引き続きラリグラスのサポートや、こういった問題について周りの人にシェアしていくことをしていきたいと思います。
Copyright (C) Laligurans Japan