2014年夏(34回)スタディツアー感想文
6)永田さん(東京都 社会人 女性)
 今回のネパールスタディツアーで感じたことはたくさんありますが、その中でも“支援”ということについて考えたことを書きたいと思います。

 まり子アンティはツアーの中で「支援はお金」という言葉をたびたび口にしてらっしゃいました。私には初めその言葉がしっくりきていませんでした。自分が学生ということもあり、資金面からの支援をする機会がこれまで、あまりなかったからということもあるとは思いますが、お金が必要なのはわかるけれども、お金じゃなくても、遠く離れた国から想いを寄せるだけでも支援はできると思っているふしがありました。

続き
 しかしながら、ツアーのスケジュールが進むにつれて、さまざまな問題に直面する施設を訪れるにつれてこの考え方は変わってきました。ホスピスの子どもたちに充分な食事を食べてもらうにも、教育を受けさせるにも、デイケアに子どもたちが通えるようにするにもお金があって初めて可能になることなのだと気がついたのです。

 大きな金額の寄付金がたどっていく道、実際に使われている現場を目の当たりにしたことで、やっともやもやとしていたお金の支援の必要性をしっかりとしたものとして実感できた気がします。結局、想っているだけではだめなこと、綺麗ごとで終わらせてはいけないこと、本当に想っているのなら、その想いをお金という想いに変えていかなければいけないということを強く感じました。

 しかし、このお金を継続的に生み出すということは本当に大変なことだと思います。しかし、支援は継続してこそ。それは、継続してツアーに参加していらっしゃる参加者の皆さんのみんなとの接し方を見て、参加者の皆さんからみんなの成長の話を聞いたこと等から非常に感じ取ったことでした。

 継続して訪問してきたからこそ、継続して支援してきたからこそ、今の信頼関係があることが伝わってきました。この信頼関係が伝わってくるからこそ寄付者の皆さんもラリグラスを通して支援をしたいと思えるのではないかと感じました。支援先、寄付者の方々との信頼関係は簡単に築くことのできるものではなく、ラリグラスの長年継続してきた末にある大きなものだと思います。

 また、お金の必要性と支援の継続性のほかに、お金を出して支援をする側の責任という部分も考えさせられました。世の中には社会の隅に追いやられている問題に向き合い、解決に向けて活動しているたくさんの団体があります。その問題を解決することを目標として活動している団体もありますが、そうではない団体もあると思います。

 自分自身そこをしっかりと見極めて支援しなければ、よい方向ではなく、悪い方向の支援に加担することになりかねないということを学びました。お金を出して終わり、物品を出して終わり、ではなくしっかり自分の頭で考えて、目で見て選択していこうと強く思いました。また、まり子さんのおっしゃっていた、支援にも人気不人気があるというお話には衝撃を受けました。

 障がい者は私たちの周りに普通にいるために、大きな問題として捉えない人が多く、支援が集まりにくい。日本人にとっては人身売買の問題は重すぎ、こちらも支援が集まりにくい。逆に当たり障りのない学校建設や教育支援は支援が集まりやすい。

 まり子さんはニーズがあるから、必要としてくれている人がいるから、そこに支援をするというスタンスを貫いてらっしゃいます。そんな当たり前のように聞こえることですが、ニーズからではなく自分たちの支援したいところから選んで支援をするという人は少なくないと思います。というより多くの人が後者だと思います。当たり前のことを当たり前にしているラリグラスの支援の姿勢は素直に素敵だと思いました。これから自分自身がどのように“支援”と向き合っていくか考えるよい機会になりました。

 今回のスタディツアーで実際に行ってしか感じられなかったこと、考えなかったこと、見なかったこと、たくさんのものを得ました。カカルビッタでは国境を越えようとしていたところを保護された少女と出会いました。マイティ本部ではインドの売春宿から帰ってきたばかりの少女に出会いました。

 今まで本やテレビなどメディアを通してしか触れることのなかった人身売買という問題が実際にごく日常の風景としてとけこんでいることにショックを受けたと同時に、どこかすんなり受け入れている自分もいました。人身売買という問題が経済や文化、宗教などさまざまなことが複雑に絡み合って成っている問題であり、解決の難しさを再認識しました。

 私一人ができることは多くはないとは思いますが、今回のツアーの参加者の皆さんのように、この問題を心のどこかでいつも気にかけ、その想いを形にしている人たちがたくさんいるということがわかったことが非常に心強く思いました。自分がこれからこの問題にどのように関わっていくかわかりませんが、とりあえず今はできるところから、今回出会ったネパールの人たちに1人じゃないよ、日本には気にかけている人がたくさんいるよということを伝えていきたいと思いました。

 ラリグラス・ジャパンの皆さん、まり子さん、秋山さん、今回出会ったネパールの方々、ツアーに関わったすべての人に感謝の気持ちを込めて。ありがとうございました。

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