2015年夏(35回)スタディツアー感想文
2)春日さん(長野 社会人 女性)
 渡航前はいろいろな風評もあったりで、「震災があったし大丈夫かなあ?」「人身売買の被害にあった女性たちとどうやって接したらよいのか……」「病気になってしまうのではないか……」と、思うことは不安ばかり。

 でも一方で、金銭的支援をしたから、文具の寄付をしたから、それでネパールの何がわかるのか、自分自身がきちんと理解していないのにたくさんの人に寄付をつのって恥ずかしいとさえ思いました。私自身が自分の目で見て、肌で感じて、経験してこそ次につなげていけるのだ! と固い決心で参加しました。結果、危険なことは何ひとつなかったし、むしろ1分1秒が勉強でした。

続き
 感想としてまず、大野国さんのようにネパール語が話せたらよかったと心底思いました。言葉の壁があって、表面的にしか出会ったみんなのことを理解できず、とても歯がゆい気持ちでした。みんな全開の笑顔をくれましたが、言葉の壁がなかったらもっともっとみんなの話に耳を傾け、もっともっと力になれたような気がして後悔です。

 それからこのツアーを通して改めて難しいなぁと感じたのは、1人ひとりとの接し方です。人身売買の被害によって心を閉ざしてしまった女性や、自分の意志に反して働かざるを得ない家庭環境の女の子たち、震災で孤児となってしまった子どもたち。楽しませてあげたいという一心でもやはり皆の心の声を聞いて、それ相応に対応しなければいけないことの難しさを学びました。引っ込み思案になっていてもダメだし、かと言って強引になってもダメだし。笑顔の影に隠れた気持ちをもっと理解し、接してあげるべきだったと反省が残ります。

 それから不自由ある生活の中で、何を一番求めているか……。お金があればなんでもできると思いがちな日本人には理解しがたい現実でした。お金よりもおいしいご飯よりも、何よりも“楽しい時間”、笑顔になれる時間それこそが、みんなの求めているものなのだと学びました。実際ネパールに行って、人々と接することがなかったら一生得られることのなかったその価値観の違いを新鮮に思い、またいかに自分がお金に依存しているか、改めて自分の生活を振り返るよい機会となりました。

 そして何よりもまり子さん、そして参加者の皆さまに感謝したいことがあります。この経験は私の人生の財産になりました。

 「英語のレッスンをしようよ」とまりこさんの鶴の一声。半信半疑だったのですが、どうもこれは冗談ではなさそうだ! と重大なミッションを抱えて、しかもそれは到着した初日。普段通りにやればいいのだという安心感の反面、今までの生き様を試される試練だと思いました。今までの経験から、“できる!!”と思うときはフッとアイディアが浮かんでくるもので、自分を信じて準備しました。

 トランジットのバンコクで鈴木さんのバルーンアートとのコラボ、大野国さん、柴田さんの協力等打ち合わせをし、本番を迎えました。初体験でしたので汗ビッショリ……。子どもたちの礼儀正しさ、明るさに圧倒され、言いたいことが全部言えたわけではなかったのですが、“日本”についてを一生懸命学ぼうとするその貪欲な姿、物怖じせず表現できる自分の意思、これは日本人も見習わなければいけない姿勢だなと強く感じました。

 教育については、詰め込み教育だと言われていますが、基本である挨拶がしっかりでき、常に笑顔で、私たちを見る目がキラキラ輝いていて、これ以上彼らに何を求めることができようかと感服しました。同時に、何でも得られる環境にいながら、私自身を含め日本人はダメだなあとあらためて考えさせられました。人を変えることは一筋縄にはいかないけれど、まずは私の生徒から今回学んだことを伝えていき、いつか理解できる時が来ることを信じ、努力を怠らないでいきたいと思います。

 まり子さん、こんな機会を与えてくださってどうもありがとうございました。そして参加者の皆さま、この素晴らしい経験を共有できたことを誇りに思います。
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