2015年夏(35回)スタディツアー感想文
6)藤本さん(高知 学生 女性)
私は、このツアーの参加は3回目となります。今回のツアーは、関空からの出発が私だけだったので、バンコクで大野国さん率いる羽田組の皆さんと合流させていただきました。年代もバラバラだったので、今回はどんなツアーになるのだろうと、最初は正直心配してしまいました。
そしてトリブバン空港に着くなり、そのままマイティ・ネパールを訪問しました。今年もいくつかのクラスを訪室しましたが、今年は私が今まで参加したものとまったく異なる雰囲気となりました。
恵さんと明子さんによる紙芝居とバルーンアートによるイングリッシュレッスンが開かれたのです。恵さん手作りの紙芝居は日本の文化や歴史がとてもわかりやすく表現されていて、明子さんがその場で作るバルーンアートが紙芝居の中の物語をより現実のものとさせていました。
それを見る子どもたちの表情はとても輝いていて、私も次はなんの話だろう、なにが作られるのだろうとワクワクしながら見ていました。
このような手作りの授業は温かみがあって、子どもたちのよい思い出になったのではないかと思います。私自身すごく勉強になりました!
(続き)
2日目はヘタウダへの長距離移動がありました。途中何度もトラブルがあり、いかにもネパールらしいなと思いつつ車に揺られました。ヘタウダへ行く目的はプリベンション・キャンプへの訪問と女の子たちとの交流。
今までにもプリベンション・キャンプの話を聞いていたので、どのような雰囲気でどのように勉強を行っているのかすごく楽しみでした。
今回出逢った子は前回までのクールの卒業生でした。ここにもやはり地震の被害がでており、次のクールが始められないそうです。
勉強できる体制があるにも関わらず、再開できない状況にあるのはとてももったいない状況だと感じました。できるだけ早く、次の女の子たちが勉強できる環境が整ってほしいと思います。
卒業生の子たちの環境はさまざまで、村からの推薦で来た子もいれば、保護された子もいました。
どのような環境の子であれ、短期間だが教育を受けられ、裁縫などで将来を切り開けることは素晴らしいと思う反面、すべての子が学校に行けない現状を目の当たりにし、ネパール内の格差を改めて感じるキャンプ訪問でもありました。暗い感想ばかりになりましたが、一緒に行ったピクニックではやはりみんな踊る踊る! そしてみんなの手品への反応もすごくよかったです。
ホスピスの子たちは盛り上げ方を知っているというか、チビちゃんたちも大きくなり、びっくりしてくれなくなってきていたので、キャンプの子たちの驚いて声も出ない反応はなかなかいい感じでした。
そんな彼女たちは別れ際に涙が溢れてしまうほど純粋な女の子たちでした。彼女たちのような純朴な女の子たちが連れ去られ売られる現状があると考えると、残酷で仕方ありません。
ヘタウダは人身売買が多い地域の1つでもあるそうなので、今回出逢った女の子たちが、地元の村で被害者がでないよう活動してくれることを願います。
6日目はNDWS、デイケアセンター訪問、家庭訪問というプログラムでした。ゴダワリ地区は地震の被害が大きく、障がいを抱えた子どもたちの家も倒壊しており、仮設住宅での生活を余儀なくされていました。
この度訪問したのは、マヘンドラ君とハシーナちゃんが住む仮設住宅です。マヘンドラ君は下半身の障がいに加え、腎臓疾患もあり、移植予定でしたが地震の影響で手術が延期され、現在は週2回の透析に通っているそうです。
マヘンドラ君の家まではジープで行きましたが、もちろん何の舗装もされていない急な坂道で、大変危険な道のりでした。
これを弟さんのバイクに2人乗りで夜間、病院に通っているそうで、到底日本では考えられない現状でした。また、ドナーはマヘンドラ君の父親の予定ですが、まだ術前検査に行っていないという状況で、その背景には病院にかかったことがないという不安と、周囲の人からの根拠のない噂話による恐怖感があるということでした。
日本のように、予防接種や、些細な病気や怪我で気軽に受診できるような環境でないこと、保険制度がないこと、教育体制が整っておらず無知であること。
ネパールの医療の現状を改めて思い知らされる経験でした。そのような環境下でもマヘンドラ君には、移植に臨める環境が整い、健康な身体となって、手先の器用さを生かした仕事に就いてもらいたいです。
そしてハシーナの仮設住宅を訪問しました。ハシーナは地震後3日間、昏睡状態だと聞いていたため心配だったのですが、仮設も広くきれいにしてあり、やはりお母さんの献身的なケアのおかげだと思いますが、元気な様子が見られて本当に安心しました。
そして7日目はマイティの女性や子どもたち、地震で家族を失った女の子たちとピクニックへ行きました。
ピクニックで驚いたのは、子どもたちのダンスがすごく上手ということです! 初めて子どもたちのダンスを見たのですが、放課後のダンス教室のレベルの高さに驚きました。
今までとは違った子どもたちの姿を見ることができたのですごく新鮮でした。また、子どもたちと女性たちは今バラバラに生活しているため、久しぶりに再会できてすごく嬉しそうでした。
子どもと女性たちは生活環境が変わって、少なからずストレスがあったと思います。サッチガッタの子たちも、急に生活環境が変わってしまって緊張が抜けきらないのではないかと思いました。
ピクニックのとき、いつもの元気がないように感じたので。また、今回はホスピスのシスターと話すことができました。
その時学んだことは、ホスピスの子どもはきちんとHIVのことについて理解しているということです。
学校でもHIVの教育を行っているということは知っていたのですが、実際、それを感じることができたのは安心する面もあり、衝撃的でもありました。
私たちは普段HIVという病気を身近に感じる機会は少ないですが、彼らはずっとこの病気と向き合って生きていかなければならないのだと、改めて気づかされました。
ホスピスの初代ナースのシルちゃんによると、家族のつながりが大切ということでした。日本でもHIVへの偏見は存在していて、家族にさえも病気であると言えない方もいます。
しかし、慢性疾患であるからこそ家族の支えが必要なのだと感じました。
ピクニックのときでも、ビピンや女性や子どもたちが久しぶりの再会を喜んでいる姿をみると、やはりホスピスの皆は1つの家族であり、互いに支え合い生活していたのだと思いました。
最後になりますが、毎回ネパールに来ると気づかされることがたくさんあり、とくに今回は、いろんな分野の方と生活を共にすることができたため、今まで知らなかった世界を知ることができました。
私のように助産学生として母子という1つの分野を極めていくことも大切ですが、それは社会の一部であり、それを取り巻く社会全体にも目を向けていかなければいけないと学びました。
学校という環境を生活のほとんどにしていたため、視野が狭くなっていたのだと気づかされました。国際支援というものをとっても、さまざまな方向から支援できるのだということも学ぶことができました。
今回のツアーも復興支援のときでさえも笑いの耐えない、本当に楽しい時間を過ごすことができました。たった10日間ですが、たくさんの学びや出会いを得られた貴重な体験でした。
ツアー参加者の皆さま、亀尾さん、ラジャさん、そしてまり子さん、本当にありがとうございました。また会いましょう!
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