2017年夏(37回)スタディツアー感想文
10)高浦さん(埼玉 学生 女性)
ネパールから帰国して、早2週間がたった。ネパールにいたことも、もうずっと昔のことのように感じてしまうくらい、私はあの時とは別の世界にいる。

 ネパール研修の募集が始まったとき、私は迷いなく参加したいと思った。アメリカの現地校の授業で読んだ本がきっかけで、私と同年代の少女たちが売春され、想像を絶するほどの辛い思いをした人たちにも、生きていればいつか人生は楽しい、幸せだと思えることもあるということを知ってほしいと思っていたからだ。また、地球上にわずかしかないこの先進国で生まれ育ち、先進国にしか行ったことも住んだこともない私は、途上国に行き、違う世界を自分の目で見て、そして知るべきだとも思っていた。

続き
 ネパールに着き、飛行機から降り、きれいな建物が並ぶ景色に、ついに私は来たんだ、とワクワクした。同時にここで少女売買などが盛んに行われていることなど信じ難いほどの青空も広がっていた。今回のスタディツアーでは、車に長時間乗ることも多く、車中から見た人の多い街の商店街や民家、山、深い山奥の田舎や、交通量の多い渋滞の道路、そして大量のゴミ、野犬やヤギなどのさまざまな初めて見る景色もとても印象に残っている。

 マイティ・ネパールでのお菓子配りでは、幼い子どもたちから私より年上の人たちまで、1つずつ配った。その時、笑顔でありがとうと言ってくれた子もいれば、恥ずかしそうな子もいた。また無表情で、うつむき少し暗い子もいた。そんな保護されて間もない子どもを目の当たりにし、少女売買などがいかに悲惨なものかを彼女の姿から教わった。心が痛んだ。そして憤りを覚えた。なぜこんな思いをさせる大人や親がいるのだろうと。

 またプリベンション・キャンプの方たちとのピクニックでは、一緒にダンスをしたり、アトラクションに乗ったり、ご飯を食べたり、充実かつ楽しい時間を過ごした。ダンスは皆とても上手で、ノリノリ。アトラクションでも一緒に叫んで、笑った。会話は言葉がお互い通じず、できなかったもののお互い笑顔だったので、言葉の壁など感じず、心から楽しむことができた。

 「本当の共通言語は英語ではなくて、笑顔だ」という言葉をよく耳にしたことがあったが、本当の意味でそれを身に染みて感じた。また、プリベンション・キャンプのおかげで、村に帰った後に成功したお話を生で聞き、プリベンション・キャンプの存在の大きさと、吉田学院長先生も寄付されたミシン一台一台がその人の人生をも変えるほどの大きな力をもつことができることを知ることができた。

 プリベンション・キャンプから村に帰った人たちが、私たち日本人とのピクニックがとても楽しかったという話を広め、その話を聞いてこのキャンプに参加する人もいることを知り、私たちとこのピクニックがどれだけ彼女たちにとっても特別大きな存在であるかを知ったと同時に、彼女たちにとって、人生の思い出に残るほど楽しい時間であること、そしてその時間を一緒に過ごせたことができ、とても嬉しいと思った。

 デイケアセンターでは、ラリグラス・ジャパンだけが、デイケアセンターのドナーであることを知った。そのとき、一緒に楽しく遊んだ子どもたちも、また、実際ラリグラスの支援で寮のある学校に通えるようになったことなどを聞いて、ラリグラス・ジャパンがなかったら今頃この子たちはどうなっていたんだろうと思うと怖いと思った。まり子さんをはじめとする方々やその活動がいかに大切なことかを知った。私も将来そんなふうに、誰かのために、本当に誰かを救えるようなことができるような人になりたいと思う。

 世界遺産の火葬場で、生まれて初めて亡くなった人の姿を見た。実は私はまだお葬式に行ったことがない。全く動かない、足もくっつき、ただもう寝ているだけの姿を初めて見た。人は死んだら、本当に何もできないのだ。もうただの物みたいになってしまう、死ぬ、その姿というのはああいうことなのだ、と教わった。だから、自分の大切な人との時間は本当に大事にしたい。一度死んでしまったら、生き返れない、もう会えない、自分も死んだら何もできなくなるから人生は後悔しないように、やりたいと思ったことを全部やろう!と思えた。

 ホスピスとマイティの子たちとのピクニックもとても楽しかった。こんなにキラキラした目や笑顔をして、私たちと同じように自撮りも大好きで、メイクもオシャレも好きで、そんな楽しそうにダンスする子たちが、まさか辛いバックグラウンドや今でもさまざまな事情を抱えているということが、信じられなかった。ピクニックの間、そのことを私は完全に忘れていた。そんな彼ら彼女たちに、本当にただただすごいと思った。同年代の彼、彼女たちがそれでも生き抜いている、人はそれでも生きている、生き抜く強さに言葉がない。私ならできるのだろうか。

 最終日のマイティで、みんなが「チアダンス、すごくよかったよ」と言ってくれた。みんなに笑顔と感動を届けることができて、本当によかった。特に仲良くなったサラとアーシャとのお別れのとき、「また来てくれるよね? また会えるよね?」って聞かれて、お別れがとても悲しくなったし、でもまた会いたい、だからまた来なきゃ、と思った。「きっとまた会えるよ! Have fun! Good luck!」と言い、ハグをした。次、またいつ来られるかはわからないけれど、この子たちに会いに行きたいと思う。

 このツアーに参加した目的「人生は楽しいこともあるということを伝えたかったこと」、短い時間かもしれないけどピクニックで一緒に楽しい時間を過ごすことで、その気持ちをシェアできたこと、そしてチアダンスで少しでもみんなに笑顔と感動を届けられたこと、そして逆に私がたくさんの勇気をもらえたこと、生きること、死ぬこと、たくさんのことを教わった。忘れられないことばかりだ。

 また、この研修ではいろんな年代の方々と一緒で、本当に素晴らしい方ばかりで、いろんなお話をしたり、アドバイスをもらえたりして、とても勇気と自信をもらえて、本当に皆さんと過ごした時間は貴重な時間で、出会えてよかった。

 ネパールで過ごした11日間、このスタディツアーでまり子さんをはじめとするラリグラス・ジャパンの方々、ジュリアンさんなどアダルトチームの方々、ラジャさん、学院長先生、学院生、このツアーに参加できなければ出会えなかったすべての方々、また改めて、私が心から尊敬できる学院長先生のこの学院に入れたこと、このネパール研修へ行かせてくださったこと、そして両親に、心から感謝したい。そして、これからたくさんの人に、ネパールの現状をどんどん知ってもらい、小さいことでも何かしていくことが、私たちのできることだと思う。自分はこれから何ができるのか、そしてどう生きていくのか、向き合っていきたい。

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