2017年夏(37回)スタディツアー感想文
12)蓮実さん(千葉 学生 女性)
 「思っていたのと違う」。事前学習でまり子さんからお借りしたDVDを見てそう感じていた。私が思っていた少女売買の実態とその現状は異なっている、と。

 このスタディツアーに参加するためには校内で作文選考があった。「少女売買のない世界があることを彼女たちに知ってほしい」「少女売買はおかしいことを知ってほしい」そんなことを書いた気がする。しかし少女売買の現状はそう単純なものではなかった。まず少女たちを保護するNGOは彼女たちの命を脅かすものだと洗脳されている、売春宿で働けなくなった年になって故郷に戻っても受け入れてくれる家族がいない、ろくな仕事をもてず売春宿に自ら戻る。
 
 「少女売買」を発端にさまざまな要因が絡まり合い、連鎖のように少女たちの人生を狂わせる。この現状を知り想像に及びもつかなかったが私はラリグラス・ジャパンさんやマイティ・ネパールさんの活動のように彼女たちの世界を広げてあげたいと思った。ネパールに発つ前にスタディツアーに対する姿勢はより確かなものになっていた。

続き
 印象的だったことは、プリベンション・キャンプのみんなとのピクニックで「村の人からプリベンション・キャンプについて聞いて自分で来た」という声だ。これを聞いたまり子さんが「これが私たちのめざしていることなんです」とおっしゃったとき、「すごい」と感じた。

 このこととマイティ・ネパールのアヌラダさんの「私たちの目標はマイティがなくなること。つまり、少女売買がなくなること」という言葉を併せて少しずつではあるものの着実に少女売買の現状が変わりつつある1つの面に触れられたような気がしたのだ。彼女たちは「自分たちの将来のために自らの意思で家族のいる故郷を離れ半年も暮らしていこう」と決め、プリベンション・キャンプに臨んでいた。そんな強い意志をもってプリベンション・キャンプにやってきた彼女たちとのピクニックはかなりハードだった。

 永遠に流れ続ける音楽と超高速回転の観覧車。そんなものに悠々と乗ってしまう彼女たちはパワフルなだけではなく、私たちが名前を覚えて呼ぶだけで嬉しそうに笑ってくれたピュアな面もあった。

 ネパールに発つ前は彼女たちの世界を広げてあげたい、と思っていたが果たしてできたのだろうか。日本に帰ってきた今になって思い返してみるとどうやってか逆に彼女たちに私の世界を広げてもらったような気がした。

 生まれた国や地域が異なるだけでなんの罪もない子どもたちの境遇がこんなにも変わってしまう世界の不条理さをツアー中に何度も感じました。学生の私たちだからこそできることとして彼女たちのために今後の活動で1人でも多くの人に人身売買の現状を知ってもらい、遠回りでも支援に繋げ、力になれればよいと思っています。

 今、スタディツアーを通して感じたことがたくさんありました。少女売買の現状だけでなく、まり子さんやラジェンドラさん、参加者の皆さんにいただくお話は私たち高校生にとって新鮮かつ刺激的なものでした。この年齢でこのスタディツアーに参加できたことは私の人生において今後も大きな影響を与えるものになりました。いつになるかはわかりませんが、いつかまたこのスタディツアーに参加させていただきたいです。子どもたちや女性たちとのピクニックを通して初対面の私たちにも心を開いて一緒に楽しむことができたのはラリグラス・ジャパンさんが20年間彼女たちのために活動してきたご尽力を感じました。

 まり子さん、ラジャさん、参加者の皆さん、本当にありがとうございました。

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