2017年夏(36回)スタディツアー感想文
8)坂本さん(京都 学生 女性)
4年越しの思いを形に

保育園の頃見た1枚の写真。
「ハゲワシと少女」

 私はこの写真の意味がその頃はわかりませんでした。小学生になりフィリピンのスラム街をテレビで見て貧困問題を初めて知ったときにようやく写真の意味がわかりました。それ以来貧困問題の勉強を行い、大学の進路も経済格差を学ぶために経済学部に進みました。

 大学1年生の頃に初めて知ったネパールの少女売買。私はこの問題には貧困はもちろん宗教や文化も大きく関わっていると思い次第に深く調べるようになりました。そこで出会ったのがラリグラス・ジャパンのスタディツアーでした。

① 外国人である私に何ができるのか
② 自分の想像と現実の違いを見る
③ 被害者の彼女たちの話を聞く
この3点を見つけるために1年生のころから行くことを決意してようやく4年生の夏に行くことができました。

続き
 1日目にまずマイティ・ネパールの本部に行き、挨拶と見学をしました。
皆笑顔でお迎えをしてくださって嬉しかった反面、長谷川様が女の子たちの表情に注目してみてとおっしゃっていたので見ると和やかな表情をした子たちと下を向き無表情の子たちがいることに気がつきました。無表情の子たちが笑える日が来ることを強く願ったぶん、和やかな子たちの乗り越える強さを感じ、自分の弱さに情けなさを感じました。

 2日目の職業訓練の様子を見に行くと私が1日目に見た子たちがパン(ケーキ)の作り方を学んでいました。多くの子たちが笑いながら学んだり楽しく話している中で1人ずっと無表情で何も話さない子がいました。1日目のときから気になっていた子なので帰国後の今でも彼女の様子が気になるとともに数年後にまた彼女のもとを訪れたいと心から強く思っています。

 3日目にはヘタウダに移動しました。道路が舗装されていないため整備されていたら2時間くらいで行ける場所を倍以上かけて行かないといけませんでした。
私は卒論で途上国の道路インフラについて研究しており、将来物流企業に勤めるため道中で道路の整備状況と工場の立地に注目していました。

・道路が整備されていないため一気に大量のものが運べないため運搬費用が高い。
・水や電気のインフラ整備も不十分であるため工場が少ない(国内で大きな企業が生まれる環境が少ない)。
・内陸国であるため運搬コストが低い海運を使用することができない。

 移動中にこの3つの問題点を感じることができました。ネパールの貧困は他の途上国よりも改善が難しい問題が大量にあります。現在発展している東南アジア諸国のような政策をしてもあまり効果はなくネパールの特徴に見合った政策が必要であると同時にアジア最貧国と言われる理由が経済学部の学生としてしっかりと理解できましたし、物流企業に就職する意味を再確認することができました。

 4日目はプリベンション・キャンプの皆でピクニックに。皆セルフィーが大好きでダンスが大好きでした。でも中にはシャイな子がいたり日本の女子高生と変わりがないなと思っていました。私が仲良くなった女の子がすごく優しくてカレーが口の周りについているのを見て拭いてくれたり何事も忘れて純粋に楽しんでしまいました(笑)。

 5日目はインド国境へ。マイティの女の子たちが実際に人身売買ルートでチェックをしていました。すごく暑い中で目を鋭くして怪しい人がいたらすぐに向かって話を聞いている姿を見て彼女たちの責任感が伝わり、ここが少女たちの人生を大きく変える分岐点であることを感じました。そして私が驚いたのはインドに向かって行く人とネパールに向かって行く人の量の違いでした。お金を稼ぐのも娯楽をするにもインドのほうが遥かによいということ、ネパールとインドの国の発展のレベルの違いを感じました。

 6日目はカトマンズに移動してお土産を買いました。かわいい商品が安い値段であるのですごくいいです。私はムスクの練り香水を買いました。帰国しても使ってます(笑)。
 7日目は障害者の方々のための施設NDWSへ。私の知的障害をもつ弟が養護学校でいろいろな人々と触れ合うときの笑顔や先生が彼の今できることを把握して彼に合った教育をすることでできることが増えていく様子を見てきました。

そのためNDWSの活動に私はすごく共感をもてたと同時に、ネパールでも特別支援学校教諭の免許のようなものを導入できたらと思います。
 難しいかもしれないけどまず障害の子たちは恥ずかしいものでもなく、彼らの弱い部分と強い部分を理解してそれに見合った教育をすることでぐんと成長することを伝えられるように私ができることはないかと考えていきたいです。

 8日目はピクニックへ。ここでも私はまた純粋に楽しんでいました(笑)。
関西人の強みを生かして派手な手品ではなかったもののトークで盛り上げることができたかなと思いよかったなと思います(笑)。仲良くなった子が私の名前覚えていてねと腕に名前を書いてくれました。

 9日目は最後の挨拶にマイティの本部へ。前日のピクニックで仲良くなった子が私を見つけて手招きをしてくれて「アスカ、私の名前覚えてる?」と聞いてくれたので「もちろん」と言うとすごく喜んでくれました。就職先で落ち着いたらまた絶対会いに来るからねと思いました。

 今回スタディツアーを通して感じたことは、彼女たちの過去を知るのも大事だけどそうじゃなくて今とこれからを考えることが大事だと彼女たちの現在の楽しそうな姿を見て強く思うようになりました。
 経済的な支援はもちろんですが私が経済学部生である強みと物流企業に勤める強みを考えて専門性を鋭くしていきたいと思います。

スタツアメンバーの皆さま
 11日間本当にお世話になりました。体調や治安を心配せずに学びに集中できたのは本当に運営の方々の皆さまのおかげです。そしてこのスタツアに参加したかった理由は性別、年齢関係なくいろいろな方々と旅を共にできることでした。いろいろな学びがありました。本当にありがとうございました。

 最後に、やはり手動ウォシュレットは何度試そうと勇気を振り絞ってみてもだめでした……(笑)。

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