2017年夏(37回)スタディツアー感想文
9)鈴木さん(東京都 社会人 女性)
毎年、「今年で最後!」と思いながら3年連続3回目の参加。感想文もだいぶ書きつくした感があります。日々の出来事は大野国さんのレポートにお任せして、備忘録的に個人的な感想を書こうかと思います。しばしお付き合いいただければ幸いです。
〇今回の初めてリスト
・ボダナートでお坊さんにラッキーチャームをもらった!
・ネパールの民族舞踊をみた!
・ヘタウダでミシン贈呈式に参加した!
・ヘタウダのファンシーショップで爆買い!
・ヘタウダの地元のレストランでデュロを食べた(ゴーヤのチップスが美味だった)!
・トイレのトタン屋根で頭部を強打(子ネズミ大の抜け毛と前髪増量の関係性に顔面蒼白)!
・おしゃれカフェでスイカジュースを飲んだ!
・水牛の目玉カレーを味見(角煮の脂身味だった)!
・いつもと違う公園でのピクニック(雨天)!
・ネパール風ヘアメイクをしてもらった(メイクの濃さに驚愕。
・アイラインが落ちなくて目の痛さにホテルで泣いた)!
・遊園地のバイキング初乗船(嘔吐必至によりもう二度と乗りません)!
(続き)
〇ちょっぴり心残りリスト
・マンゴーはヘタウダで買ったほうが安い!
・プシュパに貢物を貰えていない(でもKISSとマッサージをしてもらった)!
・生後8カ月のラクシュミーちゃんに会いたかった!
・ラジャさんに名前を覚えてもらいたい!
●「ネパリ バーサ ガーロ (ネパール語は難しいです)」
ネパールでの私はいっつもニコニコしている(●^o^●)。ツアーメンバーの人、ネパールの人、みんなと過ごす毎日は楽しいことばっかりで笑い転げているから。ミト(おいしい)・クシ(うれしい)・ラマイロ(楽しい)・ラムロ(いいね)・タカイラギョ(疲れた)・ガルミ(暑い)・パニ(水)・マンパルチャ(好き)……スタディツアーの中で覚えたいくつかの単語は、このスタディツアーをぎゅっと凝縮している。どんなツアーだったか思い浮かぶでしょ。
ネパール語を話せなくても大丈夫。ネパリ バーサ ガーロと呟けば十中八九笑いがとれる。疲れたと言えばここに座れと椅子をすすめられ、好きだと言えばお皿いっぱいお代わりをよそってくれる。「そうかそうか」と日本語で答えても不思議と会話が成立する。脳内翻訳が異なっている可能性は否めないけれど、気にしない。そう思うようになったのは、ネパール人と日本人というよりもちょっと遠い親戚という感覚で、ネパールに対して私自身の心の距離が近くなったせいかもしれない。だから、ネパリ バーサ ガーロだけど、言葉を越えて伝わるメッセージがたくさんある。これもひとえに、まり子さんとラジャさんが繋いでくれている信頼関係のおかげです。いつも多大な尽力感謝しています。
●海を見せたかった~昨年の反省のその後~
昨年ヘタウダの少女たちと話す中で、海を見たことがないということを知った。日本という国がどこにあるかわからなかったり、魚を生で食べることに驚いたり。「百聞は一見に如かず」という言葉が大好きな私は、お節介ながら彼女たちに海を見せたいという欲求に駆られてしまった。それが今回の参加動機。これを見たらどんな顔するかな、ここで笑ってくれるかな、と相手を想像しながら作る作業はとても楽しかった。
そんな自己満足のムービーを、まり子さんのご厚意でマイティのテレサ・アカデミーでも上映する機会を得た。ドキドキしながら上映すると、子どもたちが歓声を上げてくれた(●^o^●)!「も一回見たい!」「日本に行きたい!」「そのために勉強をがんばる!」と口々に叫ぶ声を聴いて、とても嬉しくなった。ヘタウダでも、小さな歓声を上げながら口をポカンと開けて見ている表情に心がウキウキした。これが海だよ~って伝えることができて、やっと昨年からの宿題を終えられた。何かを見たい・知りたいという気持ちは、行動を起こす原動力になるはず。大きな何かは変わらなくても、自分の中の小さな何かを変えるきっかけになったら嬉しいなと思った。だって、可能性は無限大、願えば叶うはずだから。
●「ひと月に2万円稼いでいます」
トランジット・ホームでは昨年いた修行僧にレイプされた少女にまた会えた。身ごもった子を出産し、実家に戻ったが受け入れられず、またトランジット・ホームに戻ってきていた。ウサギの柄のかわいいTシャツを着た14歳の少女。無事に出産できたことにホッと胸をなでおろす。幼い出産は負担が大きいから。その彼女に結婚させることで社会に戻すプログラムが考えられていたことに驚愕した。だって、まだ14歳。このような背景を持つ少女の嫁ぎ先は悪条件であることも予想された。まり子さんがマイティで勉強させることを強く提案してくれたことに安堵のため息。けれども、結婚することがゴールという強い社会通念を感じたのも事実。個人的には14歳で夫任せになる人生はとても不安定に感じる。ぜひたくさん勉強して、自分の道を自分で決められる知識を身に着けてほしい。せめて、NOという権利があるということを知ってほしい。宗教観はあるけれど、神様にも責任が取れないことはあると思うから。
自活の道を進む1つの方法として、プリベンション・キャンプのミシン教室はとても効果がある。今回、卒業生の話を聞いて、ミシン1つで自活の道が得られることがわかり、なおいっそうこのプログラムが続いていくことの必要性を感じた。がんばればひと月で2万円も稼げるそうだ(これはネパールではなかなかの額である)。自分で決めたことはがんばれる、だから、自分で決めることができるように教育を受けてほしいと切に願う。知識は誰にも奪われない財産だから。
●「サンキュー アンティ、 サンキュー」 ~ネームシールと魅惑のパニボール~
今回、海を見せる以外にも2つやりたいことがあった。子どもたちの顔と名前を一致させることと、ヨーヨー釣りをすること。水ヨーヨーは「パニボール」として子どもたちに大人気! 自分で作り方を覚えて量産する子どもたちを従え、私はヨーヨー屋台の親玉としてなかなかの商売繁盛っぷりだった。パシュパティナートでも地元の子どもがさっぱりわからないネパール語で必死に話しかけてきてくれた。ようやくパニボールを欲していると合点がいって渡すと、飛び跳ねるように喜んで最高の笑顔をみせてくれた。ヨーヨー持ってきてよかったな(●^o^●)単純な私は国境を越えて愛されるバルーンを町中に配りたい気持ちになった。幸せだ~!
そして、ネームシール。名前を呼んでもらう幸せって万国共通だと思う。マイティの子も名前を呼ぶと「知っているの?」と嬉しそうに身をよじる。だから、名前と一緒に顔を覚えておきたいからと伝えて、1人ひとり名前を書いたシールを胸に貼って写真を撮った。落書きのようなそのシールを後生大事に抱えて、「ありがとうアンティ、ありがとう」と何度もお礼に来る子どもに目頭が熱くなり、「こっちがありがとうだよ」と心で呟いた。
50枚100円のただのシールが宝物に変わった瞬間を見た。時間がたった今でも、胸に貼ったシールに手を当てて何度も私に笑顔を向ける少年の映像が頭から離れない。私が彼らに何かしてあげたくてたまらない気持ちになるのは、これが原因かもしれない。ローリスクハイリターンのやり取りが中毒性をもたせる。こちらのエゴや押し付けであってはいけないと注意をするけれども、自分の欲望に打ち勝てる自信がない。またあの笑顔が見たくてたまらなくなってしまう。思い出すだけでいつでも幸せな気持ちになるあの笑顔を。
●「Who am I?(だあ~れだ?)」
初日、マイティの中庭にたたずんでいると、突然背後から目隠しをされた。一瞬で記憶がよみがえり彼女の名前を叫ぶと、嬉しそうに全身で抱きついてきてくれた。その少女は、昨年ポカ(お菓子)作りに参加してくれたANJU。ポカを作った間の交流だけで、彼女は来るか来ないかわからない私を1年間待っていた。どうしてそんなに想ってくれるのだろう、それが私の正直な感想だった。
会話もたどたどしく、ダンスはヘンテコダンス。ANJUはピクニックもショーも参加していないから、私が唯一得意なバルーンアートも知らない。等価交換できていないのにもかかわらず、私に真っ直ぐ向けられる力強い愛情に、心が鷲掴みにされる衝撃を受けた。Who am I? って聞いてくれる信頼に応えなきゃいけない気がした。これは、昨年以上の破壊力だった。
●「See you next year!!」と3年目の苦悩
また中庭でボーっとしていると、一言も話したことがない子が笑顔で駆け寄ってきた。「あなた昨年ショーをしてくれたでしょ。私あなたからブレスレットもらったんだよ。あなたの名前覚えておきたいから教えてくれるかな」と。尋ねてくるそのキラキラした瞳に、私たちが来るのを本当に楽しみに待っていたのだと実感すると、歯がゆくて、表現しようのない気持ちに襲われた。
ガイドのラジャさんからも、マイティに行くと今回○〇さんは来ているのかと子どもたちから質問攻めにされると聞いた。今年も来られてよかった、と単純に思ったと同時に、もし来られなかったらどれだけガッカリさせたのだろうと少し怖くなった。それなりに長い人生の中で、自分の代わりがいないことはないということを学習している。だからもし私が来られなかったとしても、また次のメンバーと新しい関係を築くだけだ。そう頭ではわかっていながらも、一瞬でも喪失感を与えてしまうことに後ろめたい気持ちになった。
自分が過去になる悲しさも感じた。いろいろなところで私を覚えていてくれる人と会い「See you next year!!」と言われるたびに、この気持ちと葛藤した。それが個人的な3年目の苦悩だった。ずっと来られるわけではない、約束は絶対にできない。でも、過去にはしたくない。また「Who
am I?」に応えたくて。
●疲れた心にスタディツアー~支援されているのはどっちだ?~
自己満足で参加している自覚があるから、自分がやりたいと思うことをやって喜んでくれる人がいることが嬉しいと感じる。スタディツアーで出会うネパールの人たちは純度100%のとても素直な人たちで、気持ちの無駄遣いが一切なく、嬉しい・悲しい・驚いたといった感情と表情が直結している。それがとても安心する。
私は疑って過ごすよりもだまされたほうがいいやと手抜きしているから、日本ではよくだまされることがあるし(それは別にいいのだけど)、日本人特有の感情ブロックに不安になることも多い。だけど、ネパールでは私が笑えば相手も笑ってくれるし、キャッチボールをしているようにリアクションが返ってくる。その単純なやり取りに私はとても癒される。「ああ、やってよかった」と。
年齢を重ねるといくつものことが当たり前になり、日常で褒められることや肯定されることが少なくなる。そうやってすり減ってきた自己肯定感が、スタディツアーで過ごす間にムクムクと回復していくのを感じる。そしてまた1年がんばろうと思うのだ。このツアーがない夏を物足りなく感じる気がする私は、第2の大野国さんになりそうで少し怖いかもしれない。
●最後に
早稲田本庄学院の皆さまとまたご一緒できたことを嬉しく思います。ダンスや歌、ギターなど一生懸命に取り組む姿に心が熱くなりました。また、校長先生は相変わらず理想の上司で、こんな大人でいたいと強く思いました。途中参加の上田先生は女装がとても似合っていました! 約束を守ったはなこちゃんにはただただ脱帽です。明日香ちゃんは見習わせていただくことがたくさんありました。自分で働いたお金でこのような経験を買いに来た大学生には頭が下がります。安定のメグ姉さん、順子さんには感謝しかありません。大好きです♡初参加のジュリアンは、初めてとは思えない親しみやすさと頼りがいに胸きゅんでした。大野国さんは「私のネパールへようこそ!」感満載で、本当に素敵な人だなと思います。そして、野香さんの気遣い溢れるサポート、感涙でした! ガイドのラジャさんは完璧! 今年はセクシーなラジャ子さんに会えて嬉しかったです。そしてそして、まり子さん。さまざまなアレンジを含め、私たちのツアーが実り多く安全に遂行するように常に気遣ってくださいました。バイタリティ溢れるまり子さんがいなければ、このツアーは成り立ちません。ありがとうございました。ラリグラス・ジャパンのスタッフの皆さまのサポートも含め、重ねて感謝申し上げます。
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